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『いくら拒否されても、アルフェシラ王があなたのためにせっかく作って下さり、しかも届けて下さったのですから……潔くお食べ下さい』
『嫌です! シナモンの入ったケーキなんて食べたくないわ! シナモンの入ってないケーキに変えて貰って!』
『そんな無茶な……』
マーサは呆れて溜め息。
そして、こんな馬鹿げた事に付き合っている俺はどうなのだろう。
マーサを縛り上げたところで問題は解決しないだろうし、そんな事に躍起になっているのを他人が見れば、ただの阿呆にしか見えない。俺がそう思うのだから、きっとそうだ。
そういった理由で俺はメルシアとの知的な会話を諦めて帰る事に決めた。
その時。
『ちょっとあなた! これを何とかしてくれるんじゃ無かったの!?』
メルシアは物凄い剣幕で怒鳴りつけてきた。
今さら気づいたかのようにマーサもこちらを見る。
『そういえばあなた様はどちら様で? またメルシア様が拾ってこられた捨て人でしょうか?』
丁寧な口調の割に聞き捨てならない台詞を吐くものだ。だが、面倒事には関わりたくないのでそこはあえて聞かなかった事にする。
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