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受け流せなかった。
馬鹿みたく、それが真実だと教えるかのように固まっているしかなかった。
今はまだ知って欲しくない事だから。もし何かを口に出して、それが相手の筋書き通りに描かれた答えとなってしまったら……。
本能が告げたのだ。
馬鹿な女に見えてこいつは、一言二言で交わせる女ではないと。
そこまで警戒するに至った理由はやはり、メルシアの口から出た"人間では無い"という事実だ。
なぜ何の脈絡も無しにそのような発想が生まれたのか。
思い当たる節といえば、自分の世界に引き篭りがちな悪魔の存在。
正体については隠して置こうと口約束ではあるが結んだはずで、いくらあの馬鹿で阿呆な悪魔でも口約を破るとは考えにくい。
それは長い付き合いから解っている。
漏れる事のない情報を持っているという事は、俺が人間で無いと証言できる根拠を持っているという事だ。
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