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『……人間じゃないって、知られたくなかった?』
無言でいる俺の状態が気に掛かったのか、メルシアは首を傾げながらそう訊いてきた。
その対応から裏を探ろうとしているようには見えなかった。
ただ本当に、不思議に思って、という感じだった。
しかしメルシアの台詞から、確信を持っている事だけは導き出せた。
自分でもよく解らなかったが潔く諦めでもしたのか俺はようやく言葉を口に出せた。
『ああ……できればな』
『なぜ?』
『どうして俺が人間では無いと思った?』
メルシアの問いには答えず、自分の知りたかった問いを投げ掛ける。
自分の質問を一蹴された事でメルシアの方は不満そうにしていたが、俺も譲らない体勢を張っていたので、メルシアは仕方なさそうに口を開いた。
『だってあなた。これだけ長く生きてる人間はいないでしょ?』
『お前……馬鹿にしてんのか』
『私もあなたも、人間では無いのよ』
『……お前――も?』
益々訳が解らない。
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