345人が本棚に入れています
本棚に追加
こちらを見つめる漆黒の瞳は何かを求めているように思えた。
求めるものに応えてやりたい気持ちもあったが、俺はまだはっきり言って3分の1も理解できていない。メルシアの言いたい事が頭の中では予測さえも思い浮かばせなかったのだ。
その根本的な理由は、俺がメルシアを人間として見ているからに他ならない。
『……俺はまだ25年しか生きてない。長く生き過ぎたとはどういう意味だ?』
その解答はメルシアを苛立たせるものだったらしい。
『そんな訳無いじゃない! あれから何百年経ってると思ってるの!』
声を荒げ、怒りの剣幕をあらわにする。
何百年……?
そう聞き返そうとする前に、メルシアの次に出た言葉によって俺の頭は人間の生態というものに覆われた。
『あなたが初めて私の元へ訪れた時。今は朧げにしか覚えてないけど、あなたは確か今のように、この世界では珍しい金色の髪をしていて、そう……敵意ある"紫の瞳"で睨んでいたわね。
今は……私達と同じように黒の瞳をしてるけど……』
.
最初のコメントを投稿しよう!