約束

35/45
前へ
/658ページ
次へ
 そしてレイが産まれてから5年。  俺はメルシアへの気持ちを半ば忘れたように過ごした。それでもメルシアとは普通に接していたし、ヨウとの仲も関係のいい付き合いをしていたと思う。ヨウはメルシアにとって最高の伴侶だとも思う。  そして、あいつは覚えていないだろうが、幼いレイにも何度か会った。  2人と1人の少女は順風満帆な生活を送っていた。  あの――事故が起きなければ。  その時俺はヨウとは別の場所にいたが、外庭でメルシアが倒れていると城の使用人に聞かされ、途中でヨウと合流し、外庭へ向かった。  最初に見た外庭での様子は誰かが倒れており、近くに小さな少女が立っていた。その光景を見るなりヨウの足は止まったが、俺は側まで近寄った。  悲惨な光景だった。
/658ページ

最初のコメントを投稿しよう!

345人が本棚に入れています
本棚に追加