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倒れていたのはネイビス国の主、女王メルシア。
何が起きたのか。
メルシアはうつ伏せで倒れており、身体の周りは大量の赤い液体に囲まれ。皮膚という皮膚は無惨に切り刻まれ、赤い液体がどくどくと流れていた。
すぐに傷を塞がなければ。――と思ったが俺は魔術を使えない。ヨウは立ち止まったまま。悪魔もいない。
『おい! 誰か! 魔術を使える奴はいないのか!?』
俺はそう叫んで周りにいた者を見回した。恐る恐る数人が駆け寄ってきたが、手遅れだった。
メルシアは弱々しく顔を上げ、俺の方を見た。虚ろな瞳。あんなにも美しかった顔には無数の傷。身体の至るところには深い傷。悪魔やメルシア並の魔力で無ければ回復不可能だと思った。
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