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メルシアは自身の最期を悟ったように、掠れた声で俺に言った。
『お願い……護って……レイを……護って……』
カイ様――と。
俺に言ったのだ。ヨウでは無く。俺に。
レイを、護らなくてはいけない。
俺は頷いた。するとメルシアは微かに微笑み、そして俺の名前をもう一度呟いた後、息絶えた。
レイのいる方を見ると、そこにレイはいなかった。今度はヨウを見ると、青白い顔でどこを見ているのか茫然と立ち尽くしていた。
俺はヨウに何と声を掛けたらいいのか解らなかった。
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