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悪魔が言うにはレイは中途半端な魔力で死の扉を開けたため、死後の世界にも行けず、またこちらの世界に戻ってくる事も出来ずにいるという。
このままでは死ぬのと一緒だと。
“死ぬ”
中途半端な魔力で死の扉を開けた事を喜んでいいのか。メルシアとの約束が頭を掠めた。
護らなくては。
そしてレイを死の扉の挟間から助けた。10数年の時が経ったレイを見て俺は驚いた。
あまりにも――。あまりにもメルシアに似ている。似すぎている。腰まで届く黒い髪。透き通るような色白の肌。紅の唇。
この俺が、メルシアの生まれ変わりではないかと疑うほどの。
レイが1人でいる時の沈んだような顔も、メルシアが悲しげな様子でいる時に見せる姿を彷彿とさせる。だから過去について聞けなかった。もう少し時間を置いた方がいいのか。
あの哀しみは、俺やヨウを上回るかもしれない。それもそうだろう。当事者なのだから。
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