169人が本棚に入れています
本棚に追加
今、私は学校の屋上に一人で立っている。
「私…佐賀蒼依は…今日…この世界から旅立ちます…」
彼女はそう言ってゆっくりと歩いて行き、高い段の上まで来た。
後、一歩踏み出してしまえば、落ちそうなところまで。
「お父さん…お母さん…今までありがとぅ…グスッ…」
目を閉じ、泣きながら、最後の一歩を踏み出した。
終わった。何もかも。やっと苦しみから 解放される。そう思った。
だが、死んだはずなのに どこも痛くない。
そんな はずがない!
あんなに高い所から飛び降りたのに…。
私は恐る恐る目を開いた。
目の前には、いつもと変わらない風景があった。
死んでいない。私は死んでいない!少しホッとした自分がいた。
最初のコメントを投稿しよう!