過去

6/13
前へ
/69ページ
次へ
「あっ…喋りすぎた…。ごめん…。」 長崎さんは口に手をあてた。 「…。」 そこから、みんな無言になった。 しばらくして先生が教室に入って来ると、みんなは静かに席に着いた。 先生も異常に静かでどうしたのかという表情だったが、口には出さなかった。 放課後になり、帰ろうとしていると長崎さんが近寄って来た。 「佐賀さん。帰り何処か行かない?」 「あ、うん。行く」 突然の誘いに驚いたが、それには何か理由があるような気がした。 「私の知ってるカフェで良い?」 そう聞かれ私がうなずくと、カフェの方へと長崎さんは足を進めた。 「佐賀さんって何人家族?」 「4人家族だよ。長崎さんは?」 「私は2年前まで3人家族で今は…、2人家族なんだ。離婚でね。」 悲しい表情で言った。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

169人が本棚に入れています
本棚に追加