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「親に言われたの…?」 「うん。でも本当の親じゃないけど…。 私、捨て子で、生まれてから本当の親を見ていないの。」 さらっと重大な事を言ったので、私は驚いた。 「施設で育てられた私は、3歳の時に新婚の夫婦に引き取られた。 最初は凄く可愛がってくれたけど、私が11歳の時に2人が喧嘩してたのを見たの。喧嘩の原因は私だった。」 そこまで話して紅茶をすすった。 そして、また話し続ける。 「何故か時々、人の思ってる事がわかるの。 …心の中が見えるの。 それが気持ち悪いって言うか…バケモノじゃないかって近所で噂になってたの。 親もそんな目で見られるのが耐えられなくなったみたいで離婚した。 父親は出て行く直前に私にこう言った。 生まれた時に捨てられたのも、枯湖呂はこの世に生きてる意味が無いからだ。 って。 結局、また施設に預けるのは可哀想だからって、母親と私で暮らしているの。 ごめんね。長い話しだったでしょ?」
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