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全員、一階のダイニングに集合。と、リクト達に告げに来たのはログンなる少年だった。
ログンは素っ気ない態度をとったが、テーブルについた今は興味深そうにメンバーを観察している。
リクトの正面では139号がワインを口に含んでいる。
りるはリクトの隣でオレンジジュースを飲んでいた。
未成年であるから酒を飲めないのだ。リクトも事情は同じで、仕方なくお茶をすすっている。
139号はリクトと視線が合って、微笑しながら口を開く。
「リクトは作家さんでしたね。どんな作品を書かれているの?」
リクトは、口元を一瞬引きつらせた。
それを答えと受け取ったのだろう。139号は横を向いて口を開いた。しかし、既に喋りかけていたリクトの口は、彼の意に反して言葉を紡いだ。
「ミステリーです。奇天屋敷の殺人とか」
案の定、139号だけでなく、テーブルについていた全員が首を傾げるなり、口元に手をあてるなり、おのおの考える仕草を見せた。
リクトは救いを求めてりるにいちべつを送ったがりるはそっぽを向いた。まだ、探偵だと言わせなかった事を根に持っているらしい。
「どんな作品なんですか? 私はミステリー小説をたしなまないものですから。よろしければ聞かせて下さい」
沈黙を破ったのは139号の隣に座る紳士然とした男性、ウィルだ。
139号は御愁傷様とばかりに苦笑いを浮かべている。
言ってしまったからには仕方ない。リクトは覚悟を決めた。
《奇天屋敷の殺人 あらすじ》
奇代の建築家によって建造された奇天屋敷。屋敷には様々な仕掛けが施こされており、入れば二度と出られないとまで言われていた。
ある日、屋敷は物好きな資産家の手にわたった。資産家は屋敷内部の正確な見取り図を作るべく、建築士を数人雇い、内部を調査させた。
送り込まれた建築士達は屋敷の最奥で白骨死体を発見する。彼らは自分達で書いた見取り図通りに引き返したが、出口があるべき場所には、ただの壁しかない。
追い詰められた彼らは携帯電話で助けを求めた。
呼び出された警察は捜査員に糸をくくりつけて内部を探索したが何故か建築士を発見出来なかった。
建築士に連絡をとったが、彼らは屋敷から出られないと訴えるばかり。困り果てた警察は、天才考古学者、神威白土に応援を頼む。
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