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(恥ずかしがってるすぴーるさんも可愛いな……)
リクトがそう思った瞬間、ぐわしっと、頭に異様な圧力を加えられた。
「に・い・さ・ん?」
「……はい?」
頭に置かれた手の圧力に耐えられず、リクトは無理矢理顔のむきを変えられた。
「今、誰かさんに見とれてなかった?」
(鋭いな……)リクトはあくまで平静を装いながら誤魔化す。
「べつに」
「そう?」
疑わしげに目を細めるりる。
リクトは正直肝が冷える思いである。そもそも、リクトとりるは恋人同士ではないのだから、リクトが後ろ暗く思う理由はないのだが、そこまではリクトも思い至らなかった。
「私は部屋に引き上げます」
ウィルがすっと立ち上がる。
「一人になるのは危険ですよ?」
控えめに139号が止めた。
「もし犯人がいるのなら、どこに何人でいても、危険は変わりませんよ」
ウィルはどことなく寂しそうな微笑を、少しばかりやつれた顔に刻んだ。
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