レポート5

3/5
前へ
/38ページ
次へ
内装は他の部屋と変わりない。 二つのベッドの間で壁にもたれかかった斎藤が、虚ろな瞳を虚空にすえている。 斎藤の腹部には、ナイフが突き刺さり、どす黒い血液が服と絨毯を汚していた。 「ちゃんと見た?」 139号が神妙な面持ちで死体を睨んでいる。 「ええ、まあ……」 リクトが曖昧に頷くと、139号は注意深く部屋に侵入した。 一歩一歩を踏みしめて、慎重に死体へ近ずく。 服に血がつかないように注意しながらしゃがみ、左手を斎藤の首すじにおしあてる。 「死んでる……わね」 死体の首すじに触れながらも、139号は眉ひとつ動かさない。 だが、反比例してログン、すぴーる、ウィルの顔に青味がさす。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加