レポート5

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「とりあえず、アリバイでも確認してみる? 私はウィルとチェスをしていたけど」 139号は、すらりと立ち上がり肩を竦めてみせた。 こわく的な悪戯っぽい笑みを浮かべていたが、その笑みにはやや陰りが見える。 「僕はすぴーるさんといっしょにいました」 足元をふらつかせたすぴーるに、寄り添いながらログンが言う。 「私達はダイニングにいましたよ」 りるはリクトの手を強く握りながら言った。 「では、三組のうち、一組が犯人ですね」 リクトは冷然と言ってのけた。 値踏みするような目つきで一同を見回す。 二人目ともなると、リクトを除いて皆、平静を崩しかけているようだ。 139号とりるはさほどでもないが、すぴーる、ウィル、ログンは疑わしそうな、若干怯えを含んだ視線を隠しきれない。 「さっきの悲鳴は誰が?」 リクトが感情を交えず、誰にともなしに聞く。 すぴーるが弱々しく片手を挙げた。 「私です。私の部屋にちょっと荷物を取りに行こうとしたら、この部屋のドアが少し開いていて……」 「気になったので僕がドアを開けたら、こんな状態でした」 ログンは自分自身を落ち着かせるように低い声音で言った。 「やはり、一ヶ所に……」 「いえ、それはやめておきましょう」 ウィルの提案をログンが無下に退けた。 「もし、犯人がいるとすれば、二人いることになります。ならお互い、信用できる人といっしょにいるのが得策では?」 三組の内、誰か一人が犯人だとしても、当然もう一人は共犯者だ。 ログンは口には出さなかったが、もう一つの可能性に気づいていた。 犯人はすぴーると自身を除いたメンバー全員かもしれない。 その場合、三組で固まるのはむしろ危険だ。すぴーるも共犯者かもしれないが、あえて否定した。 信じれば奪われ、信じなければ失う。 ログンは失うより、奪われるほうが楽なのだ。 ウィルもログンの提案をうけて、頭を回転させた。 否定する材料は何処にもない。 もしかしたら、もう一人館に誰かいるのかもしれないが、それならば集まっていようとばらけていようと、あまり関係ないように思えた。 すぴーるは怯える自我から思考力を切り放して、状況を分析する。 殺されたのはヤシンジと斎藤。 犯人はこの二人に恨みがあったのでわないだろうか? 
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