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「アニムスだ…」
アニムスとは、簡単に言ってしまえば、女性にとっての、理想の男性像のことだ。
詳しく知りたいと思うならば、心理学…特に、ユング…を調べてみることをおすすめする。
とまあ、どういう事かというと…彼女はきっとアニムスの影響をとても強く受けているのではないだろうかと思う。
理想というものが大きくて、現実の男性では間に合わないのかもしれない。
僕は教室に帰った後、彼女に
「君の言う『違う』というのはどんな感じなんだい?」と問うてみた。
「ん~…なんていうか、呼ばれてる感じがするの。あたしはそれが運命の人なんだと思ってるんだけど」
「呼ばれてる…」
「そうそう。あたしっていう存在を本当の意味で愛してくれる人が、あたしを呼んでる気がするの。あたしを本当のあたしとして呼んでくれてるっていうか…」
彼女が言うには、ここではないどこかに自分と惹き合う人がいるのだという。
それを聞いた僕は、当時かじりたてだった心理学とその言葉を結びつけて考えたくなる衝動に駆られていた。
しかし、自分の知る人をそういった分析にかけることに抵抗がある。
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