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ぬるい風が吹きはじめたこのごろ。それは、春の訪れと共にやってきた。
「隆、落ち着いて聞けよ。」
同僚の男が、ひどくあわてて俺に言う。母か父に何かあったのだろうかと身構え、わかったと頷いた。
「由梨さんが…倒れたらしい。」
その言葉に衝撃を受け、すぐにその男から病院の場所を聞いた。
由梨とは、付き合って3年目の俺の彼女だ。
たいしたことがなければいいが…。由梨は、昔から風邪をほとんどひいたことがない。
だから貧血かなにかだろう、と心の隅で思いながら、由梨の搬送された病院へと向かった。
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