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「ねー聞いた?あの両儀さんが目を覚ましたって」
「ほんとに?じゃあやっと仔犬くんと御対面かぁ~」
「二年、二年間ず~とだもんね。私もあんな彼氏が欲しいよ」
二人のナースはエレベーターの内でそんな事を話していた。
病室ではどんな事が起きているのか知らずに…
「では、だいぶ回復してきたので今日から両儀さんは他の患者さんと相部屋になりますね。幹也さん。よかったですね」
「ありがとうございます。」
僕は式の主治医にその話をされた後、式の病室移動を手伝った。
ちなみに式はまだ目は見えない。
交通事故から意識を回復したその日に自分の目を潰そうとしたためだ。
「ここか…」
「なぁ、黒桐。相部屋の病人の名前、なんて言うんだ?」
「霧絵さんだね…珍しいね、式が他人を気にするなんて。」
「べつにいいだろ。」
式は壁に頼りに一人で病室に入っていく。
僕は式をベッドに寝かせて花を花瓶に入れる為、病室をでていった。
「あなたが両儀さんね?」
「ああ、」
ベッドに横になった式に霧絵は話しかける。
「これからよろしく。あの…、両儀さんは空を飛んだことある?」
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