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「あるわけない、ありえない。人間には翼がないから飛ぶといってもそれなりに手助けが必要になる。飛行機なんかがそれだ。もし、一人で飛んでいるというならそれは落ちている事を自分で”飛んでいる”と錯覚しているからだ…要するに、人間は飛べても一人じゃ飛べない。無理だ」
「でも、私は空を飛べたわ。私は目が見えないからお父さんの知り合いの人にもう一つの体をつくってもらったの。高いところから見る風景わいいわ…」
―ガシャん。
「お。あったあった!」
―ばたん。
「私は空を自由に歩ける。それがとても気持ちよくて。」
―シャク、シャク、シャク…
「でも、いつも一人。せっかく目が見えるのに…みんなが気付いてくれないの。悲しくはないわ。だって…」
―シャク、シャク、シャク…
「やっぱ、苺味だな。」
「ちょっと、聞いてる?」
「お。メルヘンチックな馬鹿げた話は終わったか?いや~ひまで黒桐が買ってきたハーゲンダッツだべおわったところだ。
話を聞いてる?って事だが、ようは目が見える一人の世界より、俺みたいに美味し~いハーゲンダッツを見ながら暮らす奴の方がいいって事だ。
だって目が見えないんじゃぁねぇ…」
―――ガッシャアァン!!
「ん?ふじょう?」
「ただいま。式…って窓ガラスなんで割れてるの!?」
「おそらく霧絵ちゃんが飛び降りた。」
「な、じゃあ僕は病院の人に知らせてくるから!」
「あ!待て!黒桐!」
「なんだい?式?」
「その前にハーゲンダッツ買ってきてくれ。」
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