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─飴。
綺麗な色してて、甘くて…優しい味。
僕、大好きだな。
いつだったか、緑のあいつがやってきて飴をくれた。すぐに捨てちゃったけどね。
最初の頃は嬉しかったけど、今は気に入らない相手だから…喜ぶに喜べないよ。
…でも、飴には罪はないんだよね。
食べ物は大切にしないといけないって良太郎が言うし、僕…今少しだけお腹空いた。
「…あーぁ、捨てなければ良かったかな」
「何を?」
空腹に負けてしまいそうでテーブルに伏せていると、いきなり自分の独り言に返答が返ってきたので吃驚した。
「…亀ちゃん」
僕の座っている椅子の向かい側に腰を掛け、不思議そうな表情で覗いてくる。
「元気がないようだけど、どうかしたの?」
「…お腹、空いた」
飴が食べたい。
甘い甘い、飴。
お姉ちゃんみたいに、優しい気持ちにさせてくれる…。
「お腹空いたなら、これあげるよ」
手出して、と言われたから素直に手を差し出す。
コロン、と手のひらで転がったのは、今僕が求めていたモノだった。
「飴だ!!」
「飴好きでしょ?」
「うん!!」
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