すずと美咲

7/15
前へ
/68ページ
次へ
「いただきま~す♪」 「いただきます。」 「ぷぷぷぷ、ぷ。」 食事の最中だが、すずも美咲も、あることが気になっているらしい。 まず、行人がこの場にいないこと… なにか用事があるなら、仕方がないが、さすがに寂しいらしい。 次に、行人とからあげが、なにをしようとしているか…… そして、一番心配していること、それは…… 行人がいなくても、バランスを取れるかどうかである。 いままで、行人が美咲を藍蘭島に連れて、帰って来てから、一度もこんなことはなかったからである。 「ねぇ、美咲ちゃん。」 最初に切り出したのは、すずだった。 「…………あ、はい!?なんですか?」 「私の料理、美味しい?」 おいおい、切り出す話じゃないぞ。 「はい……美味しいです。ただ………」 「ただ?」 「私の口には、合わないっていうか、何と言うか………」 ガーン! すずは、今まで感じたことのない(?)、屈辱を味わった。 「ごめんね……。口に合わなくて………。」 美咲は、すずの暗い表情を見て、自分が言ってしまった事に、いまさらながら、後悔した。 「あ!えっと、美味しいですよ。でも、私がまだ慣れてないっていうか……」 すずの表情が、段々悲しい表情に変わっていく。 こうして、暗い暗い、朝食の時間が終わってしまった………
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加