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「よーち、よちよち、泣かないでねぇ、パパでちゅよぉ、怖くないでちゅよぉ」
『おぎゃぁああ!おぎゃぁあ!』
ガラガラッ
「何やってんだよ親父。」
烈火達が部屋に到着すると、そこには赤ちゃんを必死にあやす花菱茂男がいた。
「おー!烈火に柳ちゃん!いやよぉ、薫がいきなり泣き出してよぉ!陽炎は買い物に行ってていないし。」
あたふたする茂男。
「まったく情けねぇなぁ。代われ親父!」
烈火が茂男に代わって赤ちゃんを抱っこすると、
『おぎゃぁああ!!!おぎゃぁああ!!!』
……さっきより激しく泣き始めた。
「あれ?おかしいな?」
焦る烈火。
「このバカ息子!!!もっと泣かせてどうすんだ!!!」
烈火を叱る茂男。
「や、柳!頼む!」
烈火はすかさず柳にバトンタッチ。
「え!?ちょっと烈火!?あっ、よーし、よしよし、薫ちゃ~ん大丈夫よ~、怖くないからねぇ~。」
すると、
『あへっ、あへっ』
赤ちゃんは泣き止むどころか笑いだした。
「ふぅ。ほんとにこいつはあいつそっくりだな。」
烈火がうらめしそうに一言漏らした。
今、柳が抱いている赤ちゃんは、茂男と陽炎の間に生まれた子供である。
名前は『花菱薫』。名前の由来はもちろんあの小金井薫。
なぜか性格も似てしまったらしい。
「薫ちゃん寝たみたい。どうしたらいいですかおじさん?」
柳が茂男に尋ねる。
「あ、ここに寝かせもらえるかい。いつも悪いねぇ、柳ちゃん。」
「いえいえ、私は全然大丈夫ですから。」
そう言って柳はベビーベッドに薫をそっと寝かせた。
「ふぅ、これで一安心だな。そろそろ昼だな。陽炎のやつはまだ帰ってこないのか?」
と茂男が言った矢先。
「ただいまぁ。」
陽炎が帰って来た。
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