トキ、始まりのトキ

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朝は決まって憂鬱なものだ。意味も無いのに朝っぱらから叫び回る人間など居まい。 一説によれば、人間の脳が本格的に目覚めるのは起床してから約一時間後だそうだ。 とどのつまり、たった今起きたばかりのオレは、脳がまだスリープモードに陥ってるわけで。 今日も学校だとか、教科書代わりに持って行く小学生アイドル雑誌はちゃんとバッグに入れたかどうかとか、そういうことを考える余裕すらない。 こういう時、年端もいかない妹が居れば、呂律の回らない口調で「お兄ちゃん、朝だよ!」と起こしてくれるであろうに。 自分が一人っ子であることをマイマザーアーンドマイファザーに呪う。腰振れ腰。 「……」 二階にある自分の部屋から一階の洗面所へ。鏡を使って自分の顔と対峙する。 我ながら素晴らしい童顔だ。女装でもしたら夜桜は喜んでくれるだろうか。 んなことはいい。冷たい水で顔を洗い、とりあえず両目だけでも正常に機能するようにした後、台所へ向かう。 今日の朝飯はトーストでいいや。面倒だし。 本日の活力源となる食パンを口にくわえながら、テレビの電源を入れる。
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