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「ただいま留守にしております。中学生未満のぷりちーな女の子以外はお帰りください」
仕方がないので、機器に向かってそう囁いておく。
「なああっ!?」
今度はドンドンと扉を叩き始めた。ったく、これだから今時の女子高生は……。
朝八時前から近所迷惑極まりないので、扉の鍵を開ける。
開け放たれたドアの先には、深い深い紫色の髪をした、見慣れた女が立っていた。
「遅いぞしゅろ!私がせっかく迎えに来てやったってのに」
「なんだよ、オレは本日のスケジュールを脳内整理中だったんだ」
ううっ、と唸るオレの幼馴染み的ポジションの女。オレには幼馴染み属性が無いのでそう嬉しくはない。
しゅろ、しゅろ、とコイツが口にしている固有名詞はオレのファーストネームで、オレのフルネームは空竹朱鷺(からたけしゅろ)。
さっき述べたように、伝統も地位も無い空竹家の一人息子だ。
「で、夜桜。何しに来たんだお前」
そんでもって、オレの目前に立つ女の名前は……夜桜。本名ではない。
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