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オレは一人暮らしなので、鍵を閉めるのも忘れない。
見知った町の春の道路。女と二人で歩いているオレは恵まれているのだろうが、オレが好きな女性は幼女、十歩譲ってもお姉さんなわけであって、同い年の夜桜はどうも気に入らない。
気に入らないという点はあちらさんも同じであるようで、オレと夜桜は未だくっつかない。
クラスの連中からはデキてると思われてるけど。
そんなオレ達が高校すっぽかして向かう先は、保育所。
今日みたいに朝から行くのはそう多いことではないが、学校帰りに行くなんてのはザラにある。毎日といってもいい。
さて着いたっと。幼稚園みたいな敷地を持ったそこに、遠慮なく乗り込む。
表向きの目的は手伝い。人員の少ない星屑保育所にとって、オレ達二人はボランティアのような存在である。
だが、表向きは表向きなのだ。
表があるなら裏もあるわけで、オレや夜桜がこの保育所に通う真の目的は――。
「おにい!おねえ!」
そうだとも。キュートな幼女に会うためだ。
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