ノスタルジア

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「初めてだったんだ。  盲目であることと、俺の恋は別だって、透さんにきっぱり断られちゃった。  私、ずっとこのこと、武器にしてきたのに。  初めて、破られちゃったの。だから、どうしてもアナタに逢ってみたくなっちゃった」 てへ、と。 幼い子供のように無邪気な笑顔を浮かべる。 「ついでに、透さんの告白のチャンスまで奪っちゃったー。 ねぇ、私って確信犯でしょ?」 からりと笑って見せるのは、照れ隠しなんだろうか。 閉じたままの瞼の奥から、涙が滲んでいる。
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