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「ジョン、行くわよ」
あえて、私たち二人の間を切り裂くかのように、優衣香さんが歩き出す。
「ちょっと、優衣香さん、送るよ」
慌てて声を掛けるトオルの、肩に触れた手を、優衣香さんはぴしりと叩いた。
「そういうの、良くないよー。
私、送られ狼になっちゃうかもしれないじゃない?
ねぇ、フミさん。
お願いだから、こんな良い男をいつまでも野放しにしておくの、やめてくれない?
うっかり、誤解しちゃうからさ」
そういうと、トオルの方に顔をむけて、優衣香さんはべぇと舌を出した。
「自分で告白できなくて、残念でしょ?
私みたいに良い女を振った罰なんだから」
じゃね、と。
軽やかな足取りで優衣香さんは去っていく。
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