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「千早さん宛の脅迫状、あれは誰かに頼んで置かせたものですね?置き手紙だ~とか言ってしまえばそんなに疑われるものもありませんしね。だから貴方にアリバイがあっても、手紙は勝手に置かれていて、貴方はそれを偶然見かけたごとくこちらに持ってきた。」
西村は下を向いていた。
「…態々本当に置かなくても、あらかじめ用意していたものを置かれてたと言って俺達に見せてもよかったのに、貴方はそれをしなかった。…そうでしょう?
それは貴方に事件の解き方のプライドがあったから。」
「……プライド?」
私は二階堂に不思議そうに尋ねた。
二階堂はコクンと頷くと、また話を始めた。どうやらプライドの説明みたいだ。
「……貴方には探偵のプライドがありすぎる。……仮定を立ててそれを実現するには、そこから完璧に再現しようと思ってしまう。
だから貴方は態々脅迫状を本堂のテーブルに置かせた……まぁ、推測というか、こうであったほうが貴方を犯人だと断言できるので、言ってみただけです。」
………適当だな。
私はそう直感したが、西村の表情を見て、二階堂がそう言った効果があるのがわかった。
「……西村さん、…今俺が言った、ただの仮説に覚えがない人は、そんな顔しないんですよ。」
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