182人が本棚に入れています
本棚に追加
「そこでおかしなところが2つ。」
二階堂は二本の指を立てて私に突き出してきた。
「1つはどうして犯人は態々タンスの中から灰皿を取り出したのか。」
うん、これは私も疑問に思う。
「そして二つ目、
どうして、犯人はそこに灰皿があることを、…知っていたのか。」
「!!」
知っていたのか…?
そうだ…
千早さんは誰にも部屋に入れたことないって言ってた……
初めて入る部屋のことを犯人が知ってるわけない…!!
「執事の渡瀬さんは、千早さんは部屋に誰も入れたことはないと言っていました。しかし、こうは考えられないでしょうか。」
二階堂の足は止まることなく進んでいた。
まるで何処かを目指しているようだった。
「それは……どう…?」
「例えば、千早さんは、部屋に入れたことはないけれど、そこが千早さんの部屋でなく、もともと別の人の部屋だったら。」
「え…?」
少し意味がわからなかった。
もともと千早さんの部屋じゃない?
「まぁ、…俺の推測…だと思ってましたが、どうやら正しいようです。」
二階堂は突然その場に止まった。
目の前には、1つの小さな扉があった。
取っ手を掴み、鍵がかかってないことを確かめて
ゆっくり扉を開けた。
「これは……?」
そこは、パステルカラーで統一された、可愛らしい女の子の部屋があった。
くまの人形が大中小と並び、子供サイズの小さなベットに仲良く乗っている。
「ここが、……昔の千早さんの部屋だったんですよ。」
「千早さんの………
…では、今の部屋は…?」
最初のコメントを投稿しよう!