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「千早さんの部屋に入ったわけではなく、
紅葉さんの部屋に入ったことがあったから。…と、考えられます。」
私が言いたかったことなのに……
いいところはとられたが、それは置いといて…
「つまり、紅葉さんの部屋に入ったことがある人って………?」
女優の皆坂さんは、最近黒羽さんを通して千早さんと知り合ったから、違う。
二階堂の助手、山田は霊脳捜査はできるけど見知らぬ場所の『モノ』の在りかを調べることなんてできないだろうし、まして千早さんや紅葉さんと関係を持っているようには思えない。
校倉千早さんは現に被害者だし……
そう考えれば……
私の中に、
二人の使用人の姿が浮かんだ。
「もしかして…あの二人のどちらか…?」
「……………」
二階堂は無言でこちらをじっと見た。
その時、
『ピロロロッピロロロッ』
彼のポケットで何かが鳴った。
ケータイしかないが…
「あぁ…すみません赤川さん、……はい?
神永ですか?はい………
………え……?」
どうやら電話の主は神永のようだ。
二階堂は驚いたような態度を見せたが、すぐ落ち着いて、礼を言ってから電話を切った。
「二階堂君…?
何のことを話してたんだ?」
ゆっくりこちらを見る。
その顔はいつにもなく真剣でキリッとしていた。
「神永の話だと、メイドの笹木さんは、3ヶ月前から働き始めたそうです」
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