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「へ?3ヶ月?」
「確かめますか?」
二階堂は私に携帯電話を差し出した。
電話はまだ神永とつながっている。
「……神永か?私だ。」
恐る恐る電話を耳に近づけ、彼に話しかける。
突然変わった声に、少し戸惑ったようだが、冷静を取り戻し、彼は話を続けた。
「あ、赤川さん?
二階堂から聞いたと思うけど…」
「ああ、でもそれってどういうことだ?」
「あーそっか。
ずっとさ、調べてたんだけど…千早さんのお母さん、紅葉さんが殺された事件って8年前のことらしいよ。メイドの笹木さんが入ってきたのは今から3ヶ月前で、執事の渡瀬さんは子供の頃から校倉家に仕えてたみたい。
二階堂に調べとけって言われたからやっといたけど、…これで山田の無罪ははらせたかな?」
笹木さんが3ヶ月前で……
渡瀬さんが子供の頃から……?
じゃあ笹木さんは紅葉さんの部屋にも入ったことはないはず…
でも…渡瀬さんは……?
「二階堂……君……」
電話越しの神永の声が遠ざかっていった。
私の手からスルリと落ちて、そいつはカツンと落ちてしまった。
「…………部屋に戻りましょう。」
二階堂は目を瞑りながら、悲しげに口を開いた。
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