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西村を見下ろしながら、二階堂は小さくため息づいた。
「……証拠が見つかるまで、逃げられないか不安でしたが、何とかなってよかったです。……ところで…」
二階堂が不服そうに顔をしかめる。
なにかわからないことがあるらしい。
西村はその態度に気付き、二階堂を見る。
「どうして、タンスからわざわざ灰皿を出したんですか?あんなことしなければ、バレなかったかもしれないのに。」
犯人に質問……いかにも直球だ…。
二階堂にもわからないことがあったんだ……
私は二階堂が人間だったと改めてわかった。
西村が小さく笑った。
小バカにしているわけでなく、穏やかな笑みであった。
「……仮にも探偵だったからね、悪いことをするのは拒絶感があるんだよ。
…もしかしたら、はやく見つけて欲しいって、思ったのかもしれない……」
…………
数分後、西村鶯は殺人未遂で逮捕された。
後々目覚める校倉千早も、殺人の罪で逮捕であろう。
西村は警察の車に乗る前に、二階堂のもとに近づいた。
「……俺は、犯人を捕まえたかったんだ…なにが…どこで間違えたのかな…。」
弱々しく笑う西村に、二階堂はあの性格からは考えられない優しい表情で
「…いくらいいことをしても、罪を犯せばそれが間違いだと、…思いますよ。」
と、まぁまぁよさげなことをいっていた。
くそう、高校生のくせに。
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