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「散々な誕生会だったな。」
校倉家からの帰り道、神永がため息混じりに呟いた。
「いいじゃないですかぁ?山田の誤解も解けましたしね。」
二階堂は満足げに言い返した。
見た目と違い、結構友達思いみたいだな…
「にしても、あんな犯人像なら、千早さんの執事の渡瀬さんだとてっきり思ってしまったよ。」
私は思ったことをそのまま口にした。
千早を襲った犯人は、今は亡き千早の母親、校倉紅葉の部屋の内装を知っている人物……
西村が事件に関与してたのは知っていたが、普通は昔から校倉家に住み込んでいる渡瀬さんを疑いたい。
なぜ二階堂はその可能性を考えなかったんだろうか。
「渡瀬さん?あぁ…あの人はありえません。」
「ありえない…?何故だ?」
さも当たり前のように言うから、私は更にわけがわからなくなった。
「渡瀬さんが千早さんに忠誠を誓ってるのが目に見えてわかるからですよ。
千早さんが襲われたと知ったとき、みんなアリバイを話し始めてくれたのに、渡瀬さんは一言も喋らなかった。……あれは喋らなかったんじゃなくて喋れなかったんだと思うんです。主人が襲われたために、彼女が心配で俺達の質問なんて聞いてる場合じゃなかったんだと思ったんです。
そんな人が、人を襲うなんて、考えられませんから。」
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