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…………
「へぇ…そんなことがあったんだ…」
私の土産話を、カフェのマスターは楽しそうに聞いていた。
「あぁ、もう事件には関わりたくないよ」
私はコーヒーを片手に溜め息混じりに呟いた。
「事件がなければ赤川さんの仕事がなくなりますよ?」
後ろから誰かに声をかけられた。
この嫌みったらしい口調は二階堂だな…
「仕事がなくなろうが、事件はないほうが好ましい。」
私は二階堂に反抗した。
口答えではない。本心だ。
「平和主義ですねぇ。俺は色々あったほうが楽しいと思いますが。」
通学バッグに荷物を詰めながら、そんな屁理屈を言っている。
「…今日は学校か?」
「月曜日ですからね。また5日間、しんどい日が続きますよ…」
何がしんどいだ。年寄りかてめぇは。
「………、今しかないんだぞこんな生活。少しは楽しめ!」
人差し指を二階堂に向けてビシッと言い返す。
二階堂は、不満そうながらも、いきなり開いたカフェの扉の方に振り返った。
「おーい、学校行くぞ~」
「先生!おはようございます!」
未だ眠そうにあくびをする神永と、朝から随分テンションの高い山田が学生らしく制服を来て扉の前に立っていた。
こうして見ると本当に学生なんだと今さら思う。
「あーじゃあ、行ってきます。亂ちゃん。」
二階堂はマスターに挨拶をして、2人のもとに行った。
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