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それだけで、こんなに心が洗われるなんて…。
祥はそんな自分に笑った。
そうして祥は鼻歌を歌いながらキャバレーを出て帰り道を歩いていると、チンピラたちに待ち伏せされて、祥は車で連れ出され、叩きのめされてしまった。傷だらけで、片足は多分折れているだろう、その痛みも麻痺して、祥は気を失った。
そんな祥を見つけたのは、エレンだった。
自宅に帰る途中、通り掛かりの細い路地裏で偶然見つけたのだ。祥の体の傷を見て、エレンは公衆電話へと駆け出した。
*
夜中にうっすらと祥が目を開けると、心配そうに自分を見つめるエレンがいた。祥はエレンを見つめてから、なんだか安心したように微笑み、再び深い眠りに入ってしまった。
次に目を覚ました時、そばにいたのはエレンではなく黒髪の日本人女性だった。祥は辺りを見回してエレンの姿を探していると、黒髪の女性は、
「あなた、荒木祥ね」
と日本語で言うと、祥は驚いて思わず涙が溢れた。
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