Epilogue

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「みんな言ってる。俺が意識がなかった時、香澄は泣いてなくて、俺が帰ることを信じてたって。泣き虫だった香澄が、強くなったって」 ショウがそう言うと、香澄は頭を横に振った。 「違うの。そうじゃないの。信じてるなんて言ってたけど、私、ほんとはそう言って逃げてたのよ」 香澄の言葉に、ショウは少し首を傾げて香澄の顔を覗き込んだ。肩を少し離して香澄を見つめると、香澄は涙ぐみながら、話し始めた。 「ショウが死ぬなんて信じられなかった。会えなくなるなんて思いたくなかったから、これは夢だって思い込んでたの。恐かった。すごく恐かった…。だから私はちっとも強くなんかないの。信じてるなんて、嘘。私は今でもまだ弱いままよ……」 香澄はそう言って泣き出すと、ショウはそんな香澄の唇を静かに塞ぐと、今度は香澄が目を丸くした。 「香澄、結婚しよう」 ショウの言葉に、香澄は驚いてショウを見つめた。ショウは優しく微笑んで、香澄の頬を両手で包み込んだ。
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