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荒廃した大地に人一人分の足跡と点が刻まれる。
「水ゥ……水はまだか…………」
無精髭を生やした中年の男性が怪しい銀色をした杖をつきながら虚しく嘆いていた。
羽織っていた黒のジャケットを脱ぎ、中のぐっしょりと濡れた白いシャツをあらわにする。
紺色の長ズボンを限界の膝上までまくりあげる。
しかし肌の露出が増え、外気に晒した所で喉の渇きは癒える事は無かった。
その現実に落胆し深い深い溜め息をつくと、再び歩みを進めた。
それから何時間か経った頃――――
「おん……?なんだありャあ……」
視線の遥か先だがぼんやりと街の姿を確認することが出来た。村や集落ではなく、建築物を見る限り人口もなかなかありそうだった。
「とりあえず行くかァ……」
手にしていた杖に力を込め、手に収まるくらいの球体へと変化させてから、それをポケットに仕舞い込む。
男はこの景色を見て一切慌てなかった。
何故なら死の狭間でこんな光景を幾度となく見てきたからだ。
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