第六和:罪の意識と本当の気持ち

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 復唱する柚禾に塚紗は小さく頷いて見せ、そして続ける。 「人の価値ってのは他人が決めることだろ? その他人が誰かによって、その人の価値は全然違うんだ。赤の他人にとってお前はどうでも良いのかもしれない。けど、京次郎にとっての“柚禾”と言う大切な友はお前だけ。又、親にとっての“柚禾”と言う子供はお前だけだ。代わりなんていないだろ。そんな、“価値”なんてもので悩む必要なんかないんだよ、だから」  お前はお前なんだ。塚紗はそう言うと、柚禾に微笑みかけた。柚禾はそんな塚紗に自然と笑みをこぼす。 「ありがとう、こざいます」 「どういたしまして。……さて、そろそろ戻るか」  塚紗はそう返すと立ち上がり居間の方へと歩きだした。 そんな塚紗に柚禾は慌ててついていく。 「あのっ霊媒師って話し、笑わないんですか?」 「は? なんで?」  突然の問いに歩みを止める塚紗。柚禾は当然のように問い返す塚紗にどもりながら返す。 「え、だって……普通信じませんよね?」 「あぁ……昔の仲間に似たような奴が居たからな。それでだよ」  そして再び歩き出す二人。そして再び口を開いたのは又も柚禾だった。 「あの、僕塚紗さんの事誤解してたみたいですね」 「誤解?」  はい。柚禾はそこで区切ると少し嬉しそうに続きを語る。 「初めて握手した時、塚紗さんの背後に黒い靄が見えたんです」  塚紗は、柚禾の言葉に黙って耳を傾けていた。 「今まで見てきた中でそういう人って大抵恨みを買ってる人だったんで塚紗さんもそうかと……。でも例外もいたんですね! 本当にすみませんでした」  柚禾の言葉に、塚紗は足を止めずに目を伏せ、 「……誤解なんかじゃねーよ」 「え?」  極小さな呟きだったそれは、柚禾の耳には届かなかった。 「塚紗さん、今何か言いました?」 「いや、何にも」  そして二人は、京次郎たちの待つ居間へと向かうのであった。 .
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