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「お前まさかこのまま居座る気じゃねぇだろうな」
居間から離れ縁側を歩きながら、塚紗は蒼に言った。
蒼は無表情で行く先を見つめている。
「あのなぁっ……! オレは何時までもお前に監視されるような生活はもうこりごりなんだよ!」
そう言っても、無反応な蒼に塚紗の眉間に皺が寄った。そしてぴしっと前方を指さす。
「帰れ!」
塚紗の指の先には大きな門が口を開けていた。
蒼は小さく微笑むと細めた目を塚紗に向ける。
「帰る? 私には帰る場所などありませんよ。それは、塚紗様がよくご存じのはずです」
「っ……」
蒼の言葉に歯を食いしばる塚紗。蒼は笑みを浮かべたまま塚紗を見つめた。
「とにかく、この町から出ていけ。オレから離れろ」
背を向けそう言った塚紗を、蒼は先ほどとは打って変わった真剣な顔で見据える。
そしてゆっくりと口を開いた。
「……何を、企んでいらっしゃるんですか?」
「……!」
蒼に背を向けている塚紗の目がその言葉に見開かれる。
蒼は更に続けた。
「貴女の事です。何か、するべき事があってここにいるのでしょう。だからあの桂の地位を背後にしここに住み着いた。違いますか?」
「……っ違う! オレはいざとなったらここを出る! アイツ等を巻き込むような事はしない!」
声を荒らげる塚紗。そんな様子に、蒼は冷静に答えた。
「やはり、何かあるのですね」
塚紗は、しまったっ……。と口を押さえる。が、今更そうしたところで言ってしまった事が覆るはずもなく、蒼は確信した予想に真剣な眼差しで塚紗を見た。
「貴女は何故そうやって一人で何でもしようとするのです。貴女には私も居るのですよ?」
「これはオレの問題だ、お前には関係ない。第一お前にはアイツを探すよう言ったはずだろ」
蒼が、塚紗の“アイツ“に反応し視線を反らすと再度しっかりと塚紗を見据える。
「ここを拠点にして探します」
蒼の言葉に、塚紗は呆れたような、驚いたような顔をした。
「はぁ……。いざと言うときは、ここの連中共々おいていく。良いな」
塚紗はそれだけ言うとそのまま草履を掃いて門へと向かう。そんな塚紗を、蒼はじっと見つめていた。
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