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「物にも全て記憶があるんです。それを今から見ます」
屋敷の中へと案内した柚禾は塚紗たちにそう説明した。
そして一枚の少し大きめな地図を取り出す。そこにはこの町全体が書かれていた。
「この地図は地区ごとに記憶させた紙が寄せ集められて出来たもので、その文と平行して見ていけば、場所が分かるはずなんです」
流石は霊媒師の子とでも言えば良いのか、京次郎たちは関心して柚禾の話に聞き入っている。
「では、始めますね」
柚禾は大きな机に地図と文を正面に置きそれぞれに手を添えると、集中したのか目を瞑った。
地図に添えられた手をゆっくりと動かしていく。
そんな様子を、京次郎たちも緊張した面持ちでじっと見つめていた。
しばらくし、地図に添えていた手を止めた柚禾はゆっくり目を開き呟く。
「……分かりました。この文はここで書かれたみたいです」
柚禾が地図に指をさし、塚紗たちはその地図を覗き込む。そこには“裏路地街”と書かれていた。
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