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「吉郎……!? 何故ここにっ……!」
「知り合いっすか……?」
十六夜は朝吉に、私の幼なじみですわ。と簡単に説明すると吉郎を見る。吉郎と呼ばれた男は驚く十六夜に近づくと朝吉をギロリと睨みつけた。
「十六夜、騙されるな! あの卑しい文を送ったのはその男だ!」
「なっ……!」
吉郎の言葉に十六夜は慌てて横を見る。朝吉は青ざめた顔で吉郎を見つめていた。
「本当、なのですか……?」
「……っ! ちっ違っ……! 俺、はっ……俺が送ったのはっ……!」
十六夜は慌てて朝吉から距離を取り立ち上がる。
「送ったのは、何です?」
「っ……」
朝吉は十六夜の視線に口を噤んでしまった。それを見た吉郎は、十六夜に手を伸ばし口を開く。
「さぁ、十六夜こっちに来るんだ」
ゆっくりと朝吉から離れる十六夜。朝吉は慌てて立ち上がった。
「待ってください! 俺はっ――」
「来ないで!」
「――っ」
自分を敵視する十六夜の視線に、朝吉は息を飲んだ。
「さっきのあの言葉は、偽りだったのですね」
最低っ……! そう、十六夜は言い放った。朝吉は握りしめた手にさらにきつく力を込める。
「俺、はっ……!」
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