第八和:心の強さと情[ココロ]の弱さ

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「ふぅ、そろそろ緑葉も見納めか」  町中で、葉が緑と黄、そして紅で彩られている木々を見つめながら塚紗が呟いた。 「ま、紅葉を楽しむのも乙ってもんだろ」 「……時々お前って言うことがおっさんだよな」  がつんっ。と、京次郎の脳天に塚紗の言葉が重くのし掛かる。 そんな様子を、蒼は横目で見つめた。 「そう言えば、悠助の奴最近どうしたんだ?」 「えぇ、彼なら木戸殿の塾に入り浸っているようですよ」  蒼と悠助が初めて顔合わせをした時、悠助は蒼の雰囲気が気に入らなかったらしく敵意剥き出しで塚紗の後ろに隠れていた。今でもそれは変わらないらしく、悠助は蒼に対して舌を出したりと、子供らしい反抗をしている。蒼は全く気にしていないようだが……。 「塾に? 何でまた……」 「そう言えば前に塾行った時もいつの間にかいなくなってたっけ……。好きな子でも出来たか?」  京次郎のちゃかした言い方に塚紗は、まさか……。と首を傾げた。 「なぁ、行ってみようぜ」  どうやら京次郎の好奇心に火が点いたようである。 .
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