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「偉そうにしちゃって、何様のつもり?」
少女が竹刀を担ぎ眉を寄せる。そんな少女に悠助は一睨みすると言葉を荒げた。
「おい渚! 塚紗に失礼だろ!?」
「なっ何よ! アンタがバカにされてるみたいだったからっ……!」
悠助に言われ頬を赤く染めて反論する、渚と言われた少女は竹刀を持ち上げると先革を塚紗に向けた。
「兎に角! そんな偉そうに刀なんか挿してるなんて、警察はなにしてるのよ!」
「あぁ、その事なら心配ねえよ、警察が役立たずってのは否定しねぇけど」
いたずらっ子のように口元を上げる塚紗に、渚は苛つきを覚える。そして近くに挿してあった自分のとは別の竹刀を取り出すと塚紗に投げつけた。
「!」
ぱしんっ! と乾いた音が道場に響く。が、飛んできた竹刀に簡単にぶつかる塚紗ではなかった。塚紗は軽々と竹刀を受け止めると、それと渚を交互に見つめる。
「勝負よ! その偉そうな鼻へし折ってやるんだから!」
挑戦的な渚に塚紗薄く笑みを浮かべた。
「バカ止めとけ! お前なんかがかなうもんか!」
「何よ、私に勝てないアンタに言われたくないわ!」
「そういう問題じゃないんだって!」
悠助が慌てて止めようと口を挟むが、うるさい! と渚に一括され、口を噤んでしまう。
「さぁ、私の挑戦を受けなさい!」
睨みつけている渚とはうって代わり、塚紗は生き生きとした笑みを浮かべていた。
そして塚紗の返事は、
「あぁ……良いだろう」
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