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渚の後を追った悠助は裏庭を探し歩いていた。
「あいつ一体何処行っちまったんだぁ?」
その呟きに答えるように、悠助の視線の先で縁側に腰掛けている一つの影が現れた。
「! 渚!」
俯いていた渚は悠助の声に気づき顔を上げる。
「……悠助?」
驚き悠助の名を呟いた渚の口が次第にへの字に曲がっていき、そして開かれた。
「な、何しに来たのよヘボチン」
「ヘボチン言うな! ……前から思ってたんだけどさ、何でそんな勝ちに拘んだよ。別に負けたっていいじゃん、特に今回は塚紗が相手なんだから負けてあたりま……」
「うっさいわねぇ!」
言葉を遮るようにして荒げた渚の声に、悠助は思わず口をつぐむ。
「私は早く強くなって、お兄ちゃんを探さなきゃいけないの! アンタとは違うの!」
悠助は何も言えず、ただ怒鳴り散らす渚を見つめた。
「絶対に、あの人を倒してやるんだから……」
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