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「ああもう悔しい! 何で勝てないの!?」
町中を歩きながら、声を荒げる渚。
一人でいるため当然返事などない。
「どうやったら勝てるのかな……」
そう腕を組み、ぶつぶつ呟きながら歩いていた時。
「やぁ、君疾風の知り合い?」
「……はぁ?」
突然正面に立たれ行く手を阻まれた渚が立ち止まると、そう声をかけられた。
よく見ると、周りはその男の仲間であろう男たちに囲まれている。
「何、疾風って。突然なんなの?」
「とぼけんなよ、さっき試合ってただろ?」
疾風という名に聞き覚えの無かった渚は眉を潜め首をかしげる。が、
「何言って――っ!」
再度、渚が否定しようとしたその時、がっ……! と、鈍い音がし、渚は前のめりに倒れ込んでしまった。
「悪いねぇ。まどろっこしいのは嫌いなんで」
意識を無くした渚の後ろには短い棒を手にした別の男が立っていて、渚を殴り付けたことが分かる。
「行くぜ。招待状はもう出したんだろ?」
大人数な為に、周囲の一般人に気づかれる事なく、渚の姿はその場から消えた。
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