第八和:心の強さと情[ココロ]の弱さ

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――ぴとん。 ――ぴとん。 「……」  外は雨なのか、微かに水が天井から滴っている。 地下牢にその水滴が落ちる音だけが響く。 (こんな時、お兄ちゃんがいたら助けに来てくれるのに……)  隅に寄り膝に顔を埋める渚。 自分がとても幼い頃に失踪した兄の顔を思い浮かべながら、そんなこと有るわけがない。と、自分に言い聞かせる。 そんな時、 ――がたんっ。 「っ……!」  牢屋のすぐ近くで物音が響いた。 そちらへと視線を向けると、床に人影が写りゆっくりと近づいてくるのがうかがえた。 「だ、誰……?」  足音も無く近づく影。 「誰なの……?」  少しずつ、少しずつ大きくなっていく。 「……お兄、ちゃん……?」 「渚……? 渚かっ!?」  渚の居場所に気づいたのか、タタタタッと駆け足でその影は牢の前に現れた。 「な……悠助……!?」  そこには蜘蛛の巣やら埃やらを身体中につけた悠助がいた。 .
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