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悠助は牢屋の入り口付近に掛けられていたのであろう鍵束をガチャガチャと音を立てながら、合うのを探していく。
「何で、何でこんな所にアンタがいるのよ……!」
渚が問う中悠助は着々と鍵を合わせていき、そしてついに合う鍵が見つかり、南京錠がカチャリという音を立て開いた。
悠助は急いで牢の中に入ると今度は渚を縛り付けている縄を短刀で切る。
「……たまたま、団体にお前が囲まれてるのに気づいて後着けてきたんだ」
手が自由になった渚は縛られていた手首を擦りながら辺りを見回した。
「一人で来たの?」
「え、まぁ……」
悠助がそう答えた瞬間、
「馬鹿じゃないの!? 何で助け呼ばないのよ!」
「っ……! だ、だって連れてかれるの見ちゃったし助け呼んでくるなんて考え出て来なかったんだよ」
悠助の答えに、渚は呆れたような溜め息を吐く。
「まぁ良いわ。早く出ましょ」
「……何で助けられる側が仕切るんだよ……」
「なんか言った?」
「別に」
そう言葉を交わしながら、地上へと続く戸を開けた時だった。
「よぉ、そこまでだぜ餓鬼共」
戸は完全に男達に囲まれていた。
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