第八和:心の強さと情[ココロ]の弱さ

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「よぉ、そこまでだぜ餓鬼共」  この集団を束ねているのがこの男なのか、やはり始めに町中で渚に絡んできた男が前に出てそう口にした。 「ったく、やってくれるじゃねぇかクソ餓鬼。見張りの何人かノしたみてぇだが、調子に乗んのもそこまでだぜ」  渚を庇うように前に出た悠助はキッと男を睨み付ける。 「おいおい、ヤル気なのか? この人数を前にして随分気が強いこったなぁ……だが」  男が右手を上げる。 すると回りの男たちは悠助たちを取り囲むように動く。 「観念しろや」 「観念するのはテメェ等の方だぜ」  ニヤリと笑む男。 がしかし、突如頭上から降ってきた声に、その場にいた全員が動きを止める。 そして声と共に、悠助達と男達との間に軽々とした身のこなしで誰かが降り立った。 その人物とは、 「塚紗!」  男たちの標的である塚紗本人だった。 「て、てめぇっ……!」 「こいつ等が世話になったな。この例はきっちり返させてもらう」  普段と変わらぬ表情を浮かべた塚紗はそう言うと悠助を見る。 「塚紗……お、俺……!」 「よく頑張ったな二人とも」 「「……!」」  ふわりと笑む塚紗。 悠助と渚は息を飲む。 「後はオレに任せて、しばらく中に隠れてろ」 「! 嫌だ、俺も……!」  戦う。そう出るはずだった悠助の言葉は塚紗の言葉によって遮られる。 「大丈夫だから、渚を守れ」 「っ……」  それから塚紗は悠助の背を渚共々押し地下牢への戸を閉めた。 .
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