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「なんだ、こんな夜中に」
しっかりと刀を携えた塚紗が、一本の木に話しかけた。
「悪いな。でも……、結構重大な話なんでね」
暗がりの中、塚紗の話しかけた木から影が延び、月に照らされ姿を現す。
そこには警官の服を着こなした斎藤が立っていた。
「まぁわざわざ式を差し向けてまでこんな刻限に呼び出したんだ、下らない話だったら叩き斬ってるところだ」
眠いせいか座った目で言う塚紗の言葉に、斎藤はひきつった笑みを浮かべ冷や汗をかく。
「よく聞けよ。鬼島からたったさっき届いた情報だ」
そう含んだように言った斎藤は、自分の顔を塚紗の耳元に持っていき口を開いた。
そして小さな声で、
「“アイツ”がこの町に向かってる」
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