前奏

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「じゃあ、今日の部活は これで終わりにしま~す! ありがとうございました~!」 部長の一言で 今日も部活が終わる (疲れたッスねぇ…) 瑠璃は自分の楽器を片付けながら そう心の中で呟く (けど――…) 片付けをする手を止め ちらりとそちらを見る 瑠璃と同じ様に 楽器を片付けている男―― 樹をじっと見つめる (もっと… 先輩と同じ部屋に いたかったッスねぇ…) 切なげに目を細め 瑠璃は樹から目を逸らす 瑠璃はこの高校の1年生 4月に入学したばかりだ 一方 樹は2年生だ 瑠璃と樹は これといって接点はない しかし 瑠璃は樹に惚れている ……同性にもかかわらず 樹は 髪は肩より少し下と長めで 肩幅は狭く 身長も低めで 儚げな雰囲気を纏っている 男ながら可愛らしい 瑠璃はどこにでもいる ちょっと悪ぶった高校生… といったところだ 髪は短く ワックスで固めていて ツンツンしている しかし 身長は樹と大して変わらず低い (今日の部活は終わりでも… 明日…また授業が終われば…) 瑠璃は1人考えながら 片付けを終わらせる 「みんなバイバ~イ 親来てるし 僕、もう帰るわ~」 そう言って 部室の出口でこちらへ 手を振っているのは 瑠璃と同じクラスの翔だ 翔はクラスで常に上位にいる とても頭が良い 「おぅ、じゃあな~」 瑠璃はひらひらと 手を振ってみせる
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